創業は天保元年。
江戸時代から伝統の味を188年も受け継いでおられるという、神田の老舗「いせ源」。
あんこう鍋を中心としたあんこう料理専門店だそうだ。
今回「名代あんこう鍋コース」をいただいて来たので自慢したいと思う。
創業天保元年ということらしいが、そもそも天保っていつの時代だ?
調べてみると、江戸時代末期・十一代将軍 徳川家斉の時代である。
正直、徳川十一代、十二代将軍はあまりよく知らないんだよな~。
テストに出なかったよね?このへん。
ってことで、将軍以外の歴史的人物が天保元年に何歳だったかを見てみよう。
<天保元年に生きてた人物>
・葛飾北斎 70歳
・徳川家慶 37歳(天保8年・45歳で十二代将軍に)
・井伊直弼 15歳
・勝海舟 7歳
なるほど、あの井伊直弼や勝海舟が少年だった頃の話だ。
天保元年─。
初代・立川庄蔵氏が「いせ庄」というどじょう屋を始めた。
その後2代目立川源四郎氏がお店を今の神田に移し、”いせ”と”源”を合わせ「いせ源」と改名したそうな。
それからなんやかんやで、あんこう以外にも色んな鍋料理を提供するお店として繁盛したが、あんこう鍋に人気が集中したため、大正時代に東京で唯一のあんこう料理専門店となったようである。
お店の建物は、大正12年の関東大震災で全焼したものの、昭和5年に立て直し、戦災を免れ今に至る。
東京都選定歴史的建造物にも指定されている、情緒あふれる木造の建物だ。
このように、「いせ源」とは江戸時代から続く伝統の味を受け継ぐ老舗だ。
188年も受け継がれ、愛され続けるあんこう鍋とはいったいどんな味だろうか。
我々がお店に向かったのは、12月の某日曜日。
御茶ノ水駅から徒歩で向かうが、日曜だというのに閑散として寒々しい雰囲気である。
「この様子だと、お店あまり混んでなさそうだね」
お店が開店する11時30分の20分前に店前に到着。
我々より先に1組のお客さんが既に待っていたのはビックリ。
いやぁでも開店前から並ぶ店ってことなのだ。
11時15分頃、お店の方が業務用の暖房装置を店前に設置してくれる。
これは嬉しい。
11時20分頃からか、他のお客様も続々並びだす。
やはり、11時ちょい過ぎくらいに来て正解だったかも。
11時30分になり、順次席に案内される。
そしてあっという間に満席に!
やはり、11時ちょい過ぎくらいに来て正解だったかも。
メニューは、あんこう鍋一人前3,500円。
なのだが、あんこう鍋を中心としたコースがある。
我々が注文したのは「名代あんこう鍋コース」で7品のコース。
いやさ、普通に12品とか…女性だとキツいんじゃないか。。。
実際7品コースで満腹だった私。ご参考までに。
周りを見ていると、ほとんどの客がこの7品コースを注文している様子。
めっちゃ寒い中外で待っていて、身体が冷えているわけだが。
熱燗いこうかとも思ったけど、やっぱとりあえずビールだよねと。
寒いのに。
左から「サザエ」「なんかムニュムニュしたもの」「さつまいものなんちゃら」
まずサザエを。
蓋?が取ってあるので爪楊枝でクルンと出せばブルンッと出てくる。
うまい…最高にうまい。
貝の中に残った汁もうまい。(←飲んじゃった)
「サザエ汁うまっ!やっぱ日本酒欲しくなるね。」
ムニュムニュしたやつもうまい。
とっても上品なお味。
幸せ。
さつまいも。
甘くてむっちりしててコレも美味しい。
3品をあっという間に平らげてしまった。
さてこれからが本番だ。
煮こごりは、あんこうの卵巣を特製の出汁で煮固めた料理だそうだ。
見た目も美しい。
で、これが絶品。
口に入れると出汁の香りと一緒にとろける~。
で、卵巣なのかな、こちらは食感が良くて。
口の中でプルプルとムニムニがコラボって、出汁の香りが鼻から抜けてもう大変。
もったいなくてチビチビいただきたい。
まぁお酒が進む進む。
出たー!!
一番好きなやつコレ!!
ポン酢と紅葉おろしで。
「すみませーん!越乃寒梅ください!」
もう絶品以外の表現が見つからない。
とにかく濃厚でコクがあって全然臭みもなくて。
ねっとり…まったり…至福。
今まで食べたあん肝で最高に美味しい。
いせ源さんのあん肝食べたら、もう他のは食べられないかも。
ここでようやくメインのお鍋が登場。
お店の方が仰るには「ウドにお出汁の色が染みたら食べごろ」とのこと。
想像していた感じより、黒々としたお鍋である。
椎茸とあんこうの皮が黒いのと、出汁も濃いめだからか。
野菜から先にひ火が通るので、野菜→あんこうの順にいただく。
とりあえず三つ葉や絹さやをいただき、お出汁をすすってみる。
見た目通り、お出汁は醤油ベースのしっかりした濃い味。
肝は、私は火を通してしまったものは苦手なので相方に譲った。
白身は淡泊でモチモチで濃いお出汁と相性抜群だ。
これは旨い。
恐る恐る皮などぷるぷる系をいただく。
おっう!なんか肌に良い気がする!
ムニュっとしたり、グニュっとしたり。
部位によって色んな食感。
実はこの時、皮はちょっと苦手かなと思った。
んだけど、今思い出すともう一度食べたくて仕方ないのだ。
あの、あんこうの皮が忘れられない。
これも楽しみだったやつ。
中心部の良質な白身を唐揚げにしたものだそうだ。
片栗粉なので、カラっとサクっとしている。
山椒塩とレモンでいただく。
食感はふわふわというより、結構しっかり弾力がある感じ。
あんこうってわりとしっかりした食感の魚なんだなぁ。
お肉の食感に近く、それでいて淡白でむっちりしていて。
こりゃー何個でもいけちゃうわ。
もう一皿食べたかったくらい。
めちゃくちゃ美味。
これ、写真撮るのわすれちまった。
煮込んだあんこうの身を、肝と味噌で和えた料理だそうだ。
一通りのメイン料理をほぼ食べ終えたところでコレ。
控えめに言って最高ッス。
「日本酒に合う~~」
これはずるい。
いよいよクライマックスである。
〆はおじやで。
ちょうどいいタイミングで、お店の方が〆のおじやを作ってくれる。
同じタイミングで隣の席も〆のタイミングだったらしく。
なんと両テーブルの間で二刀流さながら、同時に作ってくださった。
お見事。
で、これがまた最高に美味い。
味は濃いめなので、一気にかき込むよりお酒とともに少しづついただくのがよろしい。
ご馳走さまでした。
今回、あんこう料理を初めて食べた。
(飲ん兵衛なので、あん肝だけは割と食べてはいたけど)
驚いたのはその食感だ。
身は弾力があって食べごたえがある。
味はクセもなく淡白で飽きがこない。
皮はプルップル。
他の部位もムチムチ、グニュグニュ。
一鍋でいろんな食感が楽しめる。
しかも、数日経ってあの皮プルプルが忘れられず…あんこうに思いを馳せているありさまである。
そんでこんな記事まで書いちゃったわけだ。
なんとお取り寄せもできるらしい。
何かのお祝いのときに実家に取り寄せて、両親にも食べさせてあげたいなぁと。
はぁ…美味しかった。