独身アラフォー女の趣味と仕事と思い出話

私の人生で唯一ラブレターをくれた人の話

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ひどい…。
とりあえず面子がひどい…。
見るからにアホそうな男子ばっかり…。
入るなり帰りたくなった。

ボーズと頭ツンツンのチャラそうな2人組。
頭にクシが刺さったままの意味不明男子。
夏真っ盛りだというのにGジャン&Gパンの男子。
しかもそのGジャン、ズボンにINしちゃっている。
その他男子大勢。

マジか。
絶対に何かの間違いだ。
と思いつつも抗議する勇気もなく適当な席に着くしかなかった。
泣きそうになっているところだったが、一人の可愛らしい女子が登場。
ショートカットでめちゃくちゃ可愛い。
その子はクラス内を見回し、唯一女子の私を見つけると
私のところへ駆け寄り「隣、いい?」と声を掛けてきた。

天使、降臨!
女神キター!

どうぞどうぞどうぞ!
と隣の席に迎え入れた。
あぁ、よかった。女の子いて。
それまで憂鬱で仕方なかったのが、天使の降臨により一瞬で晴れた。
その女の子、智美ちゃんとはすぐに打ち解けた。
いろんな話をしたが、私たちの間で話題沸騰だったのがGジャン男子だ。

「見て、あの人今日もGジャンなんだけど!」
「うわぁホントだ超ウケる。逆におしゃれじゃね?最先端いってるよ。」
「つーかほっぺた異様に赤くね?」
「ね、マジおてもやんみたい!爆笑」
「おてもやんってなに!爆笑」

容赦なしにGジャン男の行動全てに笑った。
当時私達にとってGジャン男はとにかくその容姿がツボだった。
稲中とかに出てきそうなキャラなのだ。
今では悪いと思っている。ちょっと笑いすぎた。
私達の間ではGジャン男は”おてもやん”と呼ばれていた。
一応コソコソと話してはいたが、Gジャン男も何かしら気付いているらしく
こちらをチラチラ見るようになった。

とにかくこのおてもやん、かなりのナルシストっぽい。
手鏡を常にGパンのポケットに入れ、休み時間のたびに取り出して覗くのだ。
「出た!鏡出た!髪整えてるし!あははは」
「やだまたコッチ見てる!怖っ」

そんな感じで憂鬱な夏期講習もあっという間に過ぎていった。
ちなみに私は今でもあのクラス分けは何かの間違いだと思っている。
あのクラスでは実際私は一番優秀だったし(まぁまぁ気分はよかったが)
なんでこんな初歩的な内容なのかと、たまに首をかしげた。
だって、高校浪人の男子など掛け算も覚えていなかった。

まぁそんなこんなで、無事夏期講習は終わった。
智美ちゃんとは家も近くだったので、連絡先を交換していた。
なんだかんだ言って、結構楽しかった。
クラスメイトとはそれなりに打ち解け笑い話もしたが、
結局おてもやんとだけは言葉を交わすことは一度もなかった。

そして秋になり。
タートル先生から試験のお知らせが。
また高田馬場である。
智美ちゃんも行くと連絡があったし、そこは楽しみであった。

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