独身アラフォー女の趣味と仕事と思い出話

早朝から総勢80名で行うゴキブリゲームという狂気に満ちた伝統

私は高校時代、全国大会へ行くほどのかなり厳しい吹奏楽部に所属していた。
当時は1年~3年までの部員数は総勢80名ほどであった。
現在は100名を超えるとのことだ。

学校全体の部活がさかんで、ほとんどが全国レベルだ。
吹奏楽部として甲子園にも連れて行ってもらったし、サッカーもラグビーもバレーボールも柔道も剣道も、全国に行っていた。
とにかく、そんなガチ系・熱血系の学校で汗と涙の青春時代を送ったのである。

えぇ。引退までそりゃもう本当に辛く濃い2年半だった。
一年365日中350日は部活だったんじゃないだろうか。
つまり試験前ほんの数日と元旦だけが休みになる。

試験前でも、本番が近かったりすると学校近くの施設で合宿するほどだ。
放課後夜まで練習後、学校バスで合宿所へ移動し、夕食を食べ、勉強、風呂、勉強、就寝。
勉強中眠くなってウトウトすると、顧問にひっぱたかれる。

元旦から練習だったこともある。
基本的には元旦は休みになるのだが、アンサンブルコンクール出場メンバーは例外だ。
さすがに他の部も休みで静まり返る学校と周辺の山々に、我々の叫びに似たクラリネット八重奏が鳴り響いた。

行き帰りの電車では、あけおめあけおめ浮かれる世間の皆様に「遊びじゃねんだよコッチは」と心の中で叫んだ。

とまぁ、こんな部活である。
先日、我が母校の野球部が甲子園を賭け戦っていたので、同期の家に集まって地方大会決勝戦をテレビで観戦したのだ。
あ、ちなみにその同期ってのは「パンツ丸見えになっても尚、死守しなければならないものがある」で、クラリネットを持ったままゴロンゴロン回転していた絵美である。

その時当然、話題にあがるのは当時の部活での出来事なわけだが。
そこにいた全員がその日まで忘れていたのが、ゴキブリゲームという伝統である。

「てゆうかさ、当時はアレよ、忙しすぎて色々疑問に思う暇もなかったよね」
「あぁ、そうだね。ありゃぁ一種の宗教みたいなもんだから」
「そうそう。宗教とか洗脳って意味じゃ、ゴキブリゲームとかなんの儀式だよ!…て今なら思う。当時は何の疑問も持たず本気でやってたけど!」(笑)
「ゴキブリゲームwwwwwww」(爆笑)
「あった!今思い出した!ゴキブリゲーム!ヤッバ!」(爆笑)
「狂気!狂気!」(爆笑)

あんな幼稚園でやるようなゲームを。
高校生にもなって。
しかも総勢80名で。
早朝から行っていたなんて。

我が吹奏楽部は、年に3度の合宿がある。
高校の部活の合宿なんて、ちょっと楽しそうなイメージだろう。
最終日の夜には花火とかやっちゃったり?

ないからな。
楽しい要素、一つもないからな。

朝6時から活動が始まり、寝るまで食事と風呂以外ずっっっと練習である。
口、腫れっから。

で、問題のゴキブリゲームは、その合宿中の早朝に毎朝繰り広げられる。
朝、6時に広場集合。
ラジオ体操と集団行動訓練(これは学校の伝統で一般生徒も一通りやるものなんだが、軍隊みたいなやつで、これはこれでヤバい)を行ったあと、いよいよゴキブリゲームの開始だ。

ゴキブリゲームとは、簡単に言うと全員最初はゴキブリで四つん這いで徘徊する。
誰かとじゃんけんをして、勝ったらゴキブリ→あひる→ゴリラ→人間と進化できる。
じゃんけんに負けたら一段階退化する。
じゃんけんは同じ種族としかできない。
人間になった者はゲームを抜け、高みの見物。
最後までゴキブリとして残った者が敗者。
というゲームだ。

ゲーム開始直後は、全員ゴキブリなので隣らへんの者とじゃんけんができるが、時間の経過とともに、同じ種族を探してじゃんけんをしなくてはならない。
なのでゴキブリのマネをして徘徊しながら「ゴキブリ!ゴキブリ!」と叫び同種を探す必要があり、これを早朝総勢80名の高校生が毎朝行っていたのだ。
ゴリラのときなんか、胸をウホウホ叩きながら「ゴリラ!ゴリラ!」と叫ぶわけだ。
華の女子高生・男子高生が。何の罰ゲームか。
このゲームを行うのは、どうやら古くからの伝統らしかった。

当時は伝統だからと教えられ、何の疑問も持たず必死にやっていたが、一体何の目的で行われていたのだろうか。
「私はゴキブリです!ゴキブリの方いませんか!」
と、自己主張できる人間力でも磨くためであろうか。

未だに謎である。

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